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「赤ちゃんゾウが古井戸に落下 群れは2日間、それに寄り添った!」

インドの南部にあるケララ州で、移動中だったゾウの群れの中から赤ちゃんゾウが古井戸に落下してしまいました。古井戸の中は泥水で、ぬかるみにはまってしまった赤ちゃんゾウが自力で抜け出すことはできません。生命の危機を感じて混乱した赤ちゃんゾウは、必死にぬかるみから抜け出そうともがきます。

「群れは成す術がなく、パニックになった赤ちゃんゾウをただ見守る」

しかし足場が悪い中で動き回ろうとしたことで、赤ちゃんゾウの足は体の重みでどんどん深くはまってしまいます。ゾウの群れはその場に留まり、2日間に渡って赤ちゃんゾウを励まし続けました。ゾウの群れの絆の強さが示される一方で、状況を改善する手立ては見つからず、赤ちゃんゾウは古井戸から抜け出せずにいました。

「古井戸の水位が上昇」

井戸は地下水を利用するため、周囲の天候に応じて水位が変化します。近郊の河川の水位が変化したためか、赤ちゃんゾウが落ちてしまった古井戸の水位が上昇しました。赤ちゃんゾウはその変化に驚き、更に動いてしまい深みにはまっていきます。見守るゾウの群れは、その知能の高さから状況の変化に気付いて心配するものの、容易に近づくことは出来ずにいました。

「更に事態は悪化」

更に悪いことに、赤ちゃんゾウがはまってしまった古井戸は、太陽の光を直接受けてしまっていました。食料や水分が充分に補給できない状態で、インドの酷暑にさらされている赤ちゃんゾウの体力はどんどん奪われていきます。古井戸への転落時にパニックになり体力を使ってしまっていたこともあり、暑さに強いゾウであっても時間の経過とともに事態は悪化していきました。

「極限まで追い込まれた赤ちゃんゾウ」

もがく力も徐々に無くなり、赤ちゃんゾウに濃い疲労の色が見え始めました。動きもあまり無くなり、群れのゾウが様子を覗き込みます。あるゾウは長い鼻を伸ばして赤ちゃんゾウを救助しようとしますが、うまくいきません。他のゾウがラッパを吹くような大きな声を上げて、助けを求め始めました。そこでようやく異常に気付いた森林局の人たちが現場に駆け付けました。

「ついに救助が!」

森林局の人たちの他に、現場近くに住む人たちもこの異変に気付いて集合してきました。しかし野生のゾウは仲間を守るために警戒しているため、なかなか古井戸のある場所まで人間を通すことはしません。刺激することは逆効果になるので、そのまましばらくこう着状態となりました。

「赤ちゃんゾウを助けよう!」

赤ちゃんゾウを守るためにその場を動かずにいたゾウの群れも、人間が危害を加えに来たのではないと察したのか、古井戸のある場所から少し離れました。森林局の人たちなどが様子を確かめ、そこでようやく何が起きていたのかを知ることができました。赤ちゃんゾウが古井戸に転落してからどれだけ経過していたかは定かではありませんが、疲労の色はとても濃いことがわかりました。

一刻も早い救助を!と思う一方で、野生の赤ちゃんゾウの救出は慎重に行う必要があります。赤ちゃんゾウが人間に驚いて群れに助けを求めると、せっかく現場から距離を取れた仲間がまた集まってきてしまう怖れもあります。どうやって赤ちゃんゾウを助けたらいいのか、人々は考えを巡らせました。

「救助活動は数時間を要した」

赤ちゃんゾウを助けるために救助隊を編成し、人々はまずシンプルな計画から実行に移すことにしました。それは、古井戸の中の泥を掻き分けて周囲の土を崩して足場を確保し、赤ちゃんゾウが自分の力で這い出てくるよう促す、というものでした。

しかし古井戸は予測より深さがあり、その計画は上手くいかないと判断されました。続いて赤ちゃんゾウの脚にロープをくくりつけ、引っ張り上げることを計画しましたが、それも無理と判断されました。救出作戦は当初の想像よりも困難であることがわかり、次にショベルカーなどの重機を使った作戦へと変更されました。

「困難を極めた救出作戦」

救出作戦は近くに住む人たちも協力しての、大がかりなものに発展しました。掘削用のショベルカーの他に、ぬかるんだ足元を補強するために土のうや人員も準備しました。

古井戸の深さに加え、様子をうかがっている赤ちゃんゾウの仲間や、周辺に生息する野生動物の動向に注意するなど、緊張した状態で救出作戦が進む中で、刻一刻と赤ちゃんゾウの体力が奪われていきます。

「母ゾウの想い」

救出作戦用のショベルカーも現場に到着し、古井戸を壊してぬかるみを取り除いていきます。その作業中、母ゾウとおぼしきゾウが近くにやってきました。救助にかかわる者全てが、救出作戦を速やかに行わなくてはならないとの気持ちを共有していました。そして救出作戦を通して生まれた信じる気持ちが、のちに信じられない結果を運んできます。

「救出作戦は最終段階に」

ショベルカーを動かし始めてから5時間が経ち、赤ちゃんゾウは極限まで疲れていました。しかし母ゾウが近くで励まし続け、赤ちゃんゾウは自ら脚を動かすまでに気力を回復してきました。

救助隊も懸命にぬかるみを掻き分けていきます。

「信じる気持ちは奇跡を呼んだ」

赤ちゃんゾウの周りのぬかるみを掻き分け、自力で動けそうな足場を作ることができました。ここまで来れば、もう一息です。

救助作業をしている人が赤ちゃんゾウを肩に載せて押し上げ、古井戸からようやく救出することができました。見守っていた人は安心して手を叩いて喜んでいます。すると川の方角からゾウの鳴き声が聞こえました。川で様子を見守っていたゾウの群れが水しぶきを上げて赤ちゃんゾウのもとに走り寄ってきました。

「仲間と、再び。」

赤ちゃんゾウが古井戸に落ちてから救出までに2日間を要しました。救助作業をした人ももちろんですが、仲間であるゾウの群れも現場の近くでずっと様子を見守っていました。

ゾウ達は無事に赤ちゃんゾウが助け出されたことがわかり、現場に走り寄ってきたのでしょう。赤ちゃんゾウも仲間の存在に気付き、大きく声を上げて群れのもとへと向かいました。赤ちゃんゾウが仲間と再び合流できたことを、救助に関わった人たちも大きな声を上げて喜びました。

「律儀なゾウ」

赤ちゃんゾウは歓迎され、困難を乗り越えて喜んでいる様子のゾウ達の様子を、救助に関わった人たちは手を叩いたりして讃えます。そのゾウの群れのなかで、一頭だけ少し違う動きを見せる個体がいました。

そのゾウは救助に関わった人たちの様子を気にしている様子で、それに気付いた人々が不思議に思っていると、ゾウは長い鼻を高く空に持ちあげました。そしてまるでお辞儀をするかのように、長い鼻を上下させています。人々はその様子を見て大きな喜びの声を上げ、ゾウの群れが川の中を進んでいく様子をその姿が見えなくなるまで見守りました。

この出来事は、ゾウの知能の高さの証明だけでなく、群れ全体のことをとても気に掛ける動物なのだということも示しています。もともとゾウは愛情や悲哀の感情を持ち、仲間が死ぬとその死を悲しむ行動を見せることも有名です。今回の救出作戦では、共通言語を持たない人間とゾウの間で気持ちが通いました。そして赤ちゃんゾウが救出されたとき、それに対する感謝を表したゾウの行動も印象的ですし、そのゾウの行動に対して素直に驚いて喜ぶ人々の様子は、種族を超えて気持ちが通い合った瞬間を表わす非常に印象的な場面です。