私たちが北朝鮮という国に対して抱くイメージといえば、社会主義国家であり、10万人規模で行われるマスゲームなどでしょうか。日本とは歴史的にもつながりがあり、海を隔てた朝鮮半島にある北朝鮮ですが、髪型や服装の規定から独裁国家のトップ・金一族の秘密まで私たちが知らないことが沢山あります。
♦︎世界屈指のサイバー攻撃技術

北朝鮮では国民のわずか1%しかインターネットにアクセスすることを許されていません。にも関わらず、世界に脅威を与える犯罪ハッカーグループが続々と誕生しています。彼らの犯罪はランサムウェアやマルウェアを使って、各国の銀行から不正送金をさせたり、オンライン取引所から暗号資産の盗難をするもので北朝鮮ハッカーにより1900億円相当の暗号資産が奪われています。2017年に世界規模で被害を引き起こしたランサムウェア「WannaCry」にも北朝鮮ハッカーグループが関与したことがわかっています。
♦︎世界最大規模の多目的競技場

平壌にある11万4千人が収容できる多目的競技場・綾羅島メーデースタジアム。陸上競技やサッカー北朝鮮代表のホームスタジアムで、アリラン公演では10万人を動員して行われるマスゲームでも有名です。日本最大のスタジアムが日産スタジアムの7万2千席ですから規模の大きさがわかりますね。2015年の改修により国際的な基準をクリアしたスタジアムに生まれ変わりました。2011年のW杯予選でサッカー日本代表が戦ったのは同じ平壌にある金日成スタジアムです。
♦︎パソコンとインターネット

情報化社会に生きる私たちにとっては信じがたいことですが、北朝鮮は国民の情報の管理と独占に成功していると言えます。インターネットを遮断することにより海外からの情報を制限し、国民は2000年に政府が設立した独自国内ネットワーク「光明」のみ利用可能です。2003年には北朝鮮独自のOS「レッドスター」も開発。どこで誰がどのファイルを開いたかなどすべて追跡できるようになっています。OSやPCだけでなく、タブレットも独自のものを開発しています。
♦︎独自の標準時間を設けたことも

北朝鮮はそれまで日本や韓国と同じUTC+9:00だったものを、2015年8月15日に突然祖国解放70周年を記念して独自の標準時間を設定。30分早い独自の「平壌時間」というものを設けました。しかし2018年の韓国との南北首脳会談にて、元の標準時間に戻すことを提案、現在はUTC+9:00となっています。また1997年には建国49周年を記念し、新たな紀年法である「主体暦」を採用しました。これは建国の父である金日成の生誕年を元年としています。
♦︎投票率99%の選挙

建前上は民主主義国家である北朝鮮にももちろん選挙があり、地方議員や日本の国会に当たる最高人民会議の代議員は選挙によって選ばれます。しかし選挙といっても、候補者は当局が選んだ一人だけであり、投票率は99%、賛成率100%というのが毎回の結果。棄権することも反対票を投じることも許される雰囲気ではありません。名前は選挙ですが、住民たちは何のための選挙なのか関心も持ちません。
♦︎麻薬大国?

外貨を稼ぐための手段として、かつて金正日総書記の元で栽培、製造が行われていたアヘンや覚せい剤。国外に密輸していたものが、横流しにより国内でも流通するようになりました。しかし不足している医薬品の代わりや苦しい生活を忘れるために使用し中毒患者になったり、ドラッグの副作用で眠れなくなった人が睡眠薬でオーバードーズを引き起こしたり問題が相次いでいます。
♦︎世界有数の兵員数

世界軍事力ランキングによると北朝鮮は138カ国中第28位。核を含めるミサイル開発にも力を入れており、韓国や日本を始め世界の脅威といってもいいでしょう。国家として「全人民の武装化」を掲げているため、男性は10年、女性は7年の徴兵制度があります。また退役後も予備兵として地方軍に組み込まれるため人口の5%が軍人だと言われています。
♦︎韓国との非武装地帯はどうなってる?

南北交流協力推進委員会は2019年4月、韓国との国境沿いにある非武装地帯において、ハイキングコースを作るための予算390万ドルを承認しました。
ここは1968年北朝鮮軍が韓国大統領の暗殺とアメリカ大使館を爆破するために韓国に潜入、逃亡するときに大きな戦いとなり、未だにその爪痕が残っている場所でもあります。以後5民間人の立ち入りは制限されており50年ぶりに公開されることになりました。山の上からは韓国の美しい夜景も見渡せますが、国民には移動制限があり、自由に行き来できるわけではありません。
♦︎地下に眠る財宝

経済メディアによると、北朝鮮の領土内にはまだ発掘されていない大量の鉱物があり、その価値は10兆ドル以上になるのではないかと言われています。石炭を始め、金、マグネサイト、タングステン、レアアースなどが存在することが見込まれていますが、スマホの製造にも使われるレアアースは世界の総埋蔵量の70%、現在生産国1位である中国の6倍もの量になると言われています。
♦︎4割が栄養失調

2019年の国連総会では北朝鮮には1000万人を超す栄養失調に苦しむ人がおり、慢性的な飢餓状態だという報告がされています。中国からの密輸や輸入に頼っていた食料品もコロナ禍における国境封鎖で十分な食料が確保できず、また水害によりトウモロコシや砂糖などの穀物も値上がりし、餓死につながるケースも。しかしこういった圧政と貧困というイメージとは逆に、都市部などではアミューズメントパークなどの娯楽施設もできており、一部の裕福層にとってはかなり外国の影響を受けた生活を送れています。
♦︎国民の生活を支える闇市場

基本的に生活用品や食料品は国からの配給という形で成り立っているのが北朝鮮。しかし現在ではその配給制度もすでに破綻しており、食べ物にありつくためには国に認められた市場だけではなく闇市場というものの存在が欠かせません。実際食料配給による摂取は国民のわずか20%程度に過ぎず、市場での食事が60%を超えています。また職業選択の自由はなく、集産主義制度により国から定められた職業に就くのが一般的人。気の銀行員や運転手といった職業は、偉い人のコネがないとなれないんだそう。
♦︎世界と比べてみると…

北朝鮮の人口は約2500万人。これは人口世界第二位のインドの1年間の出生人数と同じ。東京都の人口の約2倍強の人たちが日本の約半分の面積に住んでいます。ただし国内総生産は一兆八千億円程度で日本でも名目総生産と比べても最下位である鳥取県と大差がありません。個人でいうと2016年フォーブスが発表した日本の長者番付一位であるファーストリテイリング・ユニクロの柳井正氏の資産額と同額です。
♦︎5歳からお勉強

5歳から11年間無償の義務教育を施すことで、識字率は100%を誇っています。識字率100%はもちろん世界一位ですが、小学校入学年齢も第一位の若さです。チュチェ思想がカリキュラムになっており、キム一族の偉業を幼い頃から暗記させられています。大学進学率は28%。高校を卒業したら兵役があり、国が決めた職業に就くことになります。病床数は世界3位ですが、薬やレントゲン用のフィルムなどが不足していて慢性的な医療不足に陥っています。
♦︎偉人?それとも?

北朝鮮を建国した金日成の長男であり、現最高指導者・金正恩の父親である金正日第二代最高指導者。北朝鮮において神格化されており、その呼び名は100以上もあるといいます。「百戦錬磨の鋼鉄の霊将」と称えられていますが、実戦で指揮をとったことはなく、プロパガンダの一環のようです。こういった神格化は軍務だけではなく、趣味の分野でも。ゴルフでは18ホール中11ホールでホールインワンを達成したなど、首を捻りたくなるようなエピソードも多々あります。
♦︎グルメな将軍様

食通でも有名な金正日氏。1990年代の北朝鮮は「苦難の行軍」と呼ばれる経済難、食糧難で50万人以上が餓死したと言われていますが、ロイヤルファミリーにとっては無縁の話。キャビアやフカヒレなどの贅沢な素材が好物だったことはもちろん、グラム単位で調味料を指定するなどとても舌が肥えていたといいます。アルコールも嗜み、日本のキリンビールやスーパードライも食卓に上がっていたそう。ウィスキーも好物で、1992年と93年の2年間において、ヘネシーのブランデーの世界一の消費者で年間80万ドルも使っていました。
♦︎非道な残酷ショー

27歳という若さで独裁国家の最高指導者となった金正恩。外見や態度などは祖父・金日成をお手本に、そして父や祖父より厳しい粛清や処刑をすることになります。意に沿わない党の関係者が140人も一斉に火炎放射器で焼かれたり銃殺されています。2021年には光明星節でのマジックショーへのお褒めの言葉に対し、合唱団の指揮者が「たいしたこともないのにお褒めいただいた」と後で周囲の人に言っただけで、「最高指導者の権威を損ねた」として死刑を言い渡されました。3人の自動小銃で合計90発も至近距離から打ち込まれた凄惨な現場だったといいます。
♦︎ベールに包まれた子供達

奔放で女性がらみのトラブルや処刑もあった父・金正日とは異なり、特定の女性との噂は聞こえてこない金正恩書記長。以前話題になったのも親友の元NBAプレイヤー、デニス・ロッドマンが訪朝した際に女学生を呼んだパーティーに付き合わされただけ、と言っています。スイスに留学していた時の同級生も女子学生とはほとんど話していなかったと証言しており、女性に関しては妻・李雪主一筋。子供は3人いることが確認されていますが、詳細は明らかにしていません。第一子は男の子、第二子はジュエという名前の女の子でロッドマンも会ったことがあるとガーディアン紙に語っています。
♦︎囁かれる影武者節

金正恩には影武者が10人とも15人ともいると噂されています。独裁国家の元首として命を狙われている立場や、かつて異母兄弟や従兄弟達と水面下で跡目争いを繰り広げたこともある過去、また父親の金正日も60人もの影武者を要請していたという噂があることを踏まえるとあながち嘘とは言い切れなそうです。2008年にバイク事故ですでに亡くなっている、2020年に狭心症の手術を受けたが術後の経過が良くないなど、死亡説も20年以上前から囁かれています。
♦︎神話から現実路線へ

初代最高指導者の金日成はテレポート能力を使い日本との対戦に勝利したなど、偉大なる金一族はテレポーテーションを使えると北朝鮮民族から崇められていましたが、2020年5月の労働新聞で「人間は空間を折り曲げたり、瞬間移動することはできない」と認めました。これは神格化されていた金一族が人間であると認め、国家政策やプロパガンダが現実的なものに近づいたとされています。金正恩はヨーロッパに留学経験もあるため、この政策を続ければ他国や国民達の心が離れていくと考えているようです。
♦︎闘志あふれる「覇気カット」

その独特なヘアスタイルが有名な北朝鮮大三代最高指導者の金正恩。サイドとバックを大胆に刈り上げ、頭頂部をオールバックに流しています。覇気を感じさせる髪型だとして「覇気カット」「覇気ヘア」と呼ばれることも。簡単そうに見えて左右対称に作り上げるのは非常に難しいそう。一般人はというと、派手な髪型は禁止されており、長さやヘアスタイルなど細かな国家規定により制限されています。女性は18種類、男性は短髪のみの10種類から選ぶことになり、未婚女性が髪を伸ばすことも許されていません。もちろんヘアカラーも禁止されています。